高校時代の友人に頼まれてお金を貸したが、返してくれない
                                
          
貸した当時は経営も順調で深く考えなかったのですが、今は状況も変わって・・・
          

3年前、Aさんに100万円貸したのですが途中で返済がなくなり、最近は電話にも出てくれません。保証人のBさんに連絡しても、Aさんから返してもらうよう繰り返すばかりで困っています。

          

この件に関して、借用証書などの書類は作られていますか?

          

はい。別の知人から「公正証書」という書面にしておくようアドバイスを受けたので、3人で公証人役場に行き、作成しました。

          

その「公正証書」を拝見しますね。なるほど。平成21年3月16日に100万円を貸され、返済方法は毎月10万円ずつ10回に分割して行うことになっていますね。返済は何回ありましたか?

          

4回で、残りは60万円です。何とか返してもらえないでしょうか?
「差押え」はできますか?

          

契約書では2回分の返済を遅滞したときは、残額を一括して返済しなければならないとされていますので、今は残金60万円を請求できます。保証人のBさんにも同じく請求できます。Bさんは連帯保証をしていますので、「Aさんから返してもらえ」と言うことはできず、直ちに返済を求めることができます。ところで、「差押え」の件ですが、それはAさん、Bさんのどちらに対して、何を差し押さえたいか、具体的なお考えはありますか?

          

Aさんは事業に失敗し、私の他にもかなり借金があるという噂です。
Bさんは会社員で、特に生活に困っているようではありませんので、できればBさんの
給料を差押えたいと思うのですが可能ですか?

          

公正証書の中に「債務を履行しないときは直ちに強制執行に服する」との記載がありますので、裁判手続を経ることなく、「差押え」が可能です。「差押え」がなされると、原則として給料の4分の1が返済に回されることになります。

          

差押え」の手続はどのようにすればいいでしょうか。できれば司法書士の方にお願いしたいのですが?

          

それでは私が申立書の作成をお受けいたします。差押え手続は裁判所に申立書を提出して行いますが、その前に公正証書を作成した公証人役場で「執行文の付与」と「送達証明書の交付」を受け、法務局でBさんの勤務先の会社の「代表者事項証明書」を取得しなければなりませんので、Bさんの勤務先の正確な名称と住所を確認していただき、手続に入りましょう。

          
                     
部屋を借りている大家さんから、『明渡しの裁判』を起こされた
                                
          
貸した当時は経営も順調で深く考えなかったのですが、今は状況も変わって・・・
          

突然、裁判所から書類が届き、「答弁書」を提出するよう書かれているのですが、書き方がわからず、大家さんの言い分には納得のいかない点もあります。

          

書類(訴状)を拝見します。大家さんは、3か月分の家賃の滞納があったので借家契約を解除し、家屋の明渡しと滞納家賃の支払いを求めるとしています。大家さんの言い分で納得のいかない点はどこですか?

          

家賃の滞納は前のバイトをやめ、次が見つかるまでの2か月だけです。
書類には、大家さんはこれまでの私の部屋の使用状態にも文句をつけ、信頼関係がなくなったと書いてありますが、私はそうは思いません。
私の部屋が雨漏りしたときは、何度も大家さんに修理をお願いしたのですが応じてく
れず、1年前に私が自費で直しました。修理代金を家賃から引けば滞納はなくなります。

          

そうですか。他にはありませんか?例えば、家賃の催促や契約の解除の点についてはいかがですか?

          

大家さんからは電話で家賃の催促を受けましたが、契約を解除するとまで言われた記憶はなく、「もう少し待って欲しい」とお願いしたら、「わかりました」と答えてくれたので、今月から2か月分ずつ返す予定でした。
私も悪いですが、これまで7年間、一度も家賃を滞納したことはなく、大家さんに裏切られた気持ちです。
最近では、マンションの老朽化もひどいし、退去することも考えていますが、引っ越しは時間とお金がかかるので二の足を踏んでいます。

          

いまのお話から、いくつかの点で争えそうですね。その前にまず、「答弁書」の書き方ですが、「答弁書」とは訴状に書いてある事実関係が正しいのか、誤っているのか、それとも知らないのかを回答して、ご自分の主張を記載するものです。ご自分で書くことが難しければ、司法書士が代わりに作成することもできます。また裁判については、ご自身で行うこともできますし、今回の件は簡易裁判所で審理されますので、認定司法書士(注)が代理することも可能です。 (注)法務大臣が指定する法人が実施する研修を修了し、法務大臣による認定を受けた司法書士

          

初めてのことで知識もないですし、自分ひとりで裁判に臨むのは不安です。

          

そういうことであれば、わたしたち司法書士にご相談ください。ご自身で裁判をされる場合でも、司法書士は「答弁書」のような裁判所に提出する書類の作成ができるほか、司法書士が裁判所に同行し、法廷でのやりとりを傍聴するなどの支援をいたします。

          
                     
『浮気をする夫と離婚』したい
                                
          
一生治らないと思うので、早く縁を切りたいです。
          

夫が同じ職場の女性と不倫関係にあり、約2年前にもそのことで大喧嘩をし、「職場外ではもう会わない」と約束させました。しかし、半年ほど前からまた夫の帰りが遅い日が増え、先月、夫がその女性と二人で食事をしているのを偶然、私の友人が見かけたのです。

          

ご主人にはその話をされましたか?

          

はい。初めはシラを切っていましたが、結局女性との交際を認めました。2年前のこともあったのでもう我慢の限界で、夫に離婚を申し入れましたが、体裁を気にして「離婚したくない」と言っています。

          

ご主人とは現在も同居しているのですか?

          

はい。毎日一応帰ってはきますが、お互い会話は一切なく、家庭内別居の状態です。食事も外でしているようで、私は夫の顔を見るのもイヤです。1日も早く離婚の手続をしたくて相談に来ました。

          

話し合いでの解決は難しそうですか?

          

何度も話し合った結果がこれなので。離婚するには「調停」の手続が必要だと聞いたのですが?

          

離婚の話し合いが整わないときは、家庭裁判所で「調停」の手続を行うことになります。「調停」では民間から選任された調停委員と裁判官(家事審判官)が、ご夫婦の間に入って話し合いを進め、合意形成をはかります。「子どもの親権や養育費」の問題もありますし、結婚期間中にご夫婦で築いた財産を清算する「財産分与」、さらには「慰謝料」などについても決めることができます。もしこの「調停」が成立しない場合は、今度は「訴訟」の手続に入ることになります。

          

具体的には何から始めればいいですか?

          

調停は家庭裁判所に「申立書」を提出することで始まります。「申立書」はご自身で作成いただくか、難しければ司法書士にご依頼ください。また弁護士を代理人に立てて手続をすることもできます。

自分たちのことなので、代理人は立てずに裁判をしたいと思います。ただ、こういうことは不慣れなので「申立書」の作成は司法書士の方にお願いしたいと思います。

          

わかりました。では、さっそく作成に取りかかりましょう。

          
                     
相続登記の手続をしたいが、『相続人が行方不明』
                                
          
長年音信不通で連絡が取れない弟の意向が確認できず、困っています。
          

息子夫婦と同居するにあたり、自宅を建て替えようと思ったのですが、建設会社から土地が亡くなった父の登記名義になっているので、先に「相続登記」の手続をするように言われました。しかし、実は私の弟は10年ほど前から音信不通で、現在も連絡が取れない状態です。弟以外の相続人は、私が土地を相続することに同意してくれているのですが、どうすればいいでしょうか?

          

弟様の年齢はおいくつですか? 奥様やお子様はいらっしゃいますか?

          

今年で57歳です。ずっと独身だったので、奥さんや子どもはいないはずです。

          

弟様と音信不通になった時の職場や、交友関係はご存じですか?

          

弟は18歳で就職し、実家を離れて寮生活を始めました。数年後、その会社を辞め、いくつか仕事を転々としていたようですが、詳しくは知りません。交友関係については全くわかりません。

          

弟様が住んでいた家に行かれたことはありますか?

          

弟と連絡がつかなくなったことを心配した母がアパートを訪ねたことがあります。しかし、荷物が置かれたまま、空き家の状態だったらしく、母が荷物を整理しました。アパートの管理会社も弟のことは把握していないそうです。

          

そうですか。今回のようなケースでは、弟様のための「財産管理人」を選任することができます。この管理人のことを「不在者の財産管理人」と言い、弟様に代わって、亡くなったお父様の遺産分割の協議をしてもらうことができます。また、弟様は生死不明の状態が7年以上続いていますので、「失踪宣告」の手続を取ることも考えられます。「失踪宣告」がなされると、弟様は死亡したものとみなされます。

          

年齢的に弟は生存していると思いますし、「失踪宣告」まではしたくありません。「不在者の財産管理人」を選任したいと思いますが、どのようにすればいいですか。

          

「不在者の財産管理人」は、利害関係人の申立により、家庭裁判所が選任することになっています。あなたはお父様の相続に関して弟様と利害関係がありますので、申立をすることができます

          

その申立の手続を司法書士の方にお願いすることはできますか?

          

はい。家庭裁判所に提出する書類の作成も司法書士の業務の一つです。安心して、おまかせください。

          
                     
『受取手形の盗難』に遭い、公示催告の手続を取るように言われた
                                
          
手形のお金が入らないと経営危機に陥ります。
          

夜間、会社の事務所に空き巣が入り、取引先からの受取手形を盗まれました。すぐに警察に盗難届を提出し、取引先に連絡したところ、「公示催告の手続を取ってください」と言われました。公示催告手続とは、どのような手続をすればいいですか?

          

手形は代金の支払いとして受け取ったものですか?また、それは約束手形ですか? 支払期はいつですか?

          

代金の支払いとして毎月末に、その月の請求分を手形で受け取っています。
手形は約束手形で、支払期は3か月後の月末になっています。

          

盗難に遭った手形は何枚ですか?

          

先月と先々月に受け取った2枚です。何とか支払を受けるようにできないでしょうか?

          

手形は簡易な代金決済手段として取引社会に深く浸透していますが、一方で紛失や盗難によるトラブルも少なくありません。「公示催告」とは簡単に言えば、盗難に遭った手形を無効にする手続です。手形を持っている人に対し一定の期間までに、手形上の権利の申出を行うように官報と裁判所の掲示場に掲載し、その期間内に申出がなければ、手形を無効にする効果を生じさせる決定がなされて(除権決定)、盗んだ相手がその手形上の権利を行使できなくするものです。盗難手形が転々と流通されると難しい問題も出てきますので、先ずは早急に公示催告手続を取るべきですね。

          

公示催告手続を司法書士の方にお願いすることはできますか?

          

公示催告手続は手形の支払地を管轄する簡易裁判所に申立をします。その申立書の作成を司法書士が行うこともできます。それでは、詳しい手続と「盗難届出受理証明書」や「振出証明書」など、必要な書類についてご説明します。

          

ぜひ、よろしくお願いします。