奥さんも子供もいない認知症の叔父の面倒を見ながら財産管理もしています。
他の親族から、叔父の財産を勝手に使っているんじゃないかと疑われて困っています。どうしたらいいでしょうか?
それは大変ですね。
叔父様の財産の内容は、どのようなものですか?
土地・建物と2,000万円ほどの預貯金があります。疑われるのもいやなので親族以外の第三者の方に財産管理をお願いできないでしょうか?
それならば「成年後見制度」を利用されてはいかがですか?これは、家庭裁判所に申立をすると、本人のためにどのような保護と支援が必要かなどの事情を考慮し、財産管理をする「成年後見人」を選任するという制度です。
家庭裁判所への申立は誰がすればいいのでしょう?
四親等内の親族であれば申立が可能ですから、あなたも申立をすることができます。
成年後見人が選任されると、叔父様の財産管理や各種契約などはその成年後見人がすることになります。叔父様が、日常生活に関係ない契約や売買を行った場合に取り消すことができます。
どのような人が成年後見人に選任されますか?
本人の親族以外では、私たち司法書士など法律・福祉の専門家が選任される場合が多いです。私たち司法書士は、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートという団体を設立し、後見人としての厳しい研修を定期的に行なっています。その研修を履修した司法書士を後見人候補者として紹介することができますので安心してお任せください。
ありがとうございます。早速、申立の準備をします。
私の経営する介護施設では親族のいない高齢者の方がたくさんいます。
そのような方の預金通帳や印鑑を私どもの代わりに預かってくれる人を探しています。
多額の預貯金をお持ちの方もいると思います。それらをすべて介護施設で管理するのは危険です。「成年後見制度」を利用してはいかがでしょうか?
「成年後見制度」ですか?
聞いたことはありますが、詳しく教えてください。
介護施設の入居者で判断能力が低下していると思われる方については、主治医に成年後見用の診断書の発行を依頼することから始まります。その診断書に記載された判断能力に応じて、成年後見人・保佐人・補助人を選任してもらうよう裁判所に申立てをすることになります。
私が裁判所に申立をするのですか?
いいえ。申立ができる人は決まっていて、親族がいる場合はその親族から申立をしてもらうことになります。今回のように親族がいない場合は、ご本人がお住まいの市町村長から申立をしてもらうことになります。
申立は何とかなりそうですが、成年後見人は私が探すのでしょうか?
裁判所が探してくれます。
裁判所は、司法書士や弁護士などの中からふさわしい人を選任します。
入居者の親族の方に成年後見人をお願いする場合、注意することはありますか?
少なくとも年に1回は裁判所へ報告する義務もありますし、人のお金を管理するので、普段から家計簿をつけているなど几帳面な方が向いています。
やはり大変そうなので、司法書士の方にお願いするほうがよさそうですね。
ぜひ、司法書士にご相談ください。
先月母が82歳で亡くなりました。母の遺産である銀行の定期預金を解約しようと思ったのですが、相続人全員の戸籍と印鑑証明書をもってくるように言われました。父は認知症で会話にならない状態です。印鑑登録もしていないので、印鑑証明書を取ることもできません。どうしたらよいですか?
認知症のお父様は判断力を失っているようなので、まず、お父様の代わりに解約の手続をする「成年後見人」を選ぶ必要があります。
それは私でもいいのですか?
単に定期預金を解約するだけなら問題ありませんが、他にも遺産がたくさんあって、それぞれを分け合うのであれば、利害関係のない相続人以外の人から選ぶことも検討すべきです。
どうやって、その成年後見人になってくれる人を探せばいいですか?
家庭裁判所に成年後見人の選任の申立をします。そのときに候補者を決めておくこともできるのですが、その当てがない場合は裁判所がふさわしい人を選任してくれます。
どのような人が選任されますか?
司法書士や弁護士など法律の専門家が選任される場合が多いです。
遺産分割が終わるまでお願いすることになるのですか?
成年後見人の仕事は通常、後見を受ける方が亡くなるまで続きます。つまり、特定の仕事をするために選任されるのではなく、後見を受ける方の生涯に渡り財産を管理し、身体や生活の状況に配慮することが務めなのです。遺産分割が終わった後、ご自身でお父様の財産を管理する場合は、成年後見人の変更をすることができるケースもあります。
そうですか、成年後見人は専門家に依頼した方がよさそうですね。
司法書士の方にお願いすることにします。
妻を亡くし子どももいないのでこれから先、もし認知症になったらと考えると不安です。
心配はお察しします。そういう方のために「任意後見制度」があります。これは成年後見制度の1種類です。判断能力が十分ある今のうちに、判断能力が不十分になったときに面倒を見てもらいたい内容とその後見人を、事前の契約によって決めておくことができる制度です。
そんな制度があるのですか。元気なうちに契約できるなら安心ですね。面倒を見てもらいたいことの内容は自由に決めることができるのですか?
話し合いでどこまで任せるかを自由に決めることができます。財産の管理や身の回りの世話など、要望に添って決めていきます。ただ、死後に関することや他人に任せることができない権利については委任することはできません。
頼める人が周りにいないのですが。
それでは、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートに登録された司法書士をお勧めします。厳しい研修を履修した司法書士が登録されており指導監督も受けていますので、安心してご依頼ください。
また、任意後見制度における後見人には、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」といって、任意後見人がきちんと仕事をしているか監督する者がつきますから、さらに安心です。
妹は、昔の友達からお金を貸してくれと言われ、10回以上に渡ってお金を貸していますが、ほとんど返ってきていません。どうにかならないでしょうか?
妹様は、なぜ断らないのでしょうか?
妹は頼まれると断れない性格なのです。以前その友達には私からも二度と借りないようにお願いしたのですが、だめでした。妹にお金を貸すのを止めさせる方法はないのでしょうか?
なるほど。大事なお金を簡単に貸してしまう妹様の判断能力に多少問題があるのかもしれません。日常生活に支障が出るほどではないようですから「補助人」をつけることを検討してはどうでしょうか?
「補助人」ってなんですか?
判断能力が衰えてくると、自分の置かれている状況にふさわしくない契約をしてしまうことがあります。これを避けるため、その人に関わる重要な契約について、同意したり取り消したりすることができる人のことです。
妹にはぴったりの制度ですね。どうすれば「補助人」をつけられますか?
補助人について申立することができるのは、妹様本人又は一定の親族などです。ただし、本人以外が申立をする場合は、本人の同意が必要です。これは本人の権利を一部制限することになるからです。
私がその「補助人」になることもできますか?
妹様が同意しているのであれば、お姉様が補助人になることはできます。実際、補助人は親族がなる場合が一番多いです。
現在、私は妹の近くに住んでいますが、もし引越しなどで遠くに離れる場合はどうしたらよいのでしょうか?
補助人を続けられない場合は、他のご親族か第三者にお願いすることになると思います。第三者の場合は、司法書士に依頼することもできますので安心してご相談ください。