借金がふくらみ『多重債務』に陥りどうしようもない状況です
                                
          
いつも間にか借金が膨らんでしまい、困っています。
          

たくさんの貸金業者などからの借金をしてしまい、いわゆる「多重債務」の状態です。司法書士の方にお願いすれば借金の整理ができると聞いたのですが?

          

はい、認定司法書士(注)にご相談ください。司法書士が依頼を受けたあとの流れは、

①受任通知
お金を借りている方(債務者)と司法書士の間で委任契約を結んだあと、貸金業者(債権者)に対して、司法書士が債務者の代理人となったことを知らせる「受任通知」を出します。この通知を受け取った貸金業者は、ご本人やそのご家族などに対して直接接触することが法律によって禁止されます。これによって債務者への借金返済の請求がストップします。

②引き直し計算
次に司法書士は、貸金業者から債務者との間でのこれまでの借入と返済の日付と金額を表にした「取引履歴」を受け取り、内容を確認したうえで債務者が返済に必要な借金の額を計算し直します。これを「引き直し計算」と言います。これまで債務者が支払ってきた利率が利息制限法を超えている場合は、利息制限法に利率を引き直します。

(注)法務大臣が指定する法人が実施する研修を修了し、法務大臣による認定を受けた司法書士

          

引き直し計算をすると、借金が減るのですか?

          

貸金業者の貸付利率によりますが、利息制限法で定められている利率よりも高い場合は、引き直し計算をすれば債務者の借金は減額します。しかし、銀行ローンや平成21年6月以降の借り入れで貸付利率が利息制限法以下であれば減額が望めない場合もあります。

          

私は、借りたお金はちゃんと返そうと思い頑張ってきたのですが、
一向に借金が減りません。

          

あなたのように何年もの間しっかり返済してこられた方は、返済し過ぎになっていることがあります。この返済し過ぎたお金のことを「過払い金」と言います。
もし過払い金が出た場合、司法書士は貸金業者に対してその過払い金を返してもらう交渉をします。交渉しても返してもらえないときは、過払い金の返還を請求する裁判を起こすこともできます。

 

          
                     
『多額の借金』返済できる限度を超えました
                                
          
月々の収入で返済できる限度を超えてしまっています。
          

月々の収入では借金を返せないので、「任意整理」、「特定調停」、「個人再生」、「自己破産」などいろいろな解決方法があると聞いたのですが?

          

まず「任意整理」とは、引き直し計算をした後に債務者が返済できるようであれば、いろいろな方法でなんとか借金を整理する方法です。例えば、もし過払い金があればこれを回収し、別の貸金業者への返済に充てます。それでも借金が残ってしまったらこれを分割して返済するといった和解を貸金業者との間で成立させるなどして、借金を整理していく方法です。分割返済の場合は、およそ3年間程度での返済とする和解が多いようです。

          

それでは「特定調停」というのは?

          

「特定調停」とは、借金が残ってしまった場合に簡易裁判所に申立をして、引き直し計算をした後の残った借金について、調停委員が間に入り、貸金業者との間で分割払いの和解を成立させる方法です。簡単に言うと裁判所を介して任意整理をするようなものです。ただしこの方法は、和解した内容に従った返済が滞ると、すぐに債務者の給料などが差押えられてしまう可能性があります。

          

「個人再生」は、どのようなものですか?

          

「個人再生」とは、地方裁判所に申立をして借金を減額してもらい、3年間程度の分割払いで返済するという方法です。返済する金額は、原則として借金が3,000万円以下の場合はその5分の1(下限100万円、上限300万円)、3,000万円以上5,000万円以下の場合はその10分の1とされています。例えば、
・借金150万円×5分の1=30万円→100万円を返済
・借金2000万円×5分の1=400万円→300万円を返済
・借金4000万円×10分の1=400万円を返済
となります。個人再生手続を申立するには、定期的に収入のあることが前提です。また、個人再生委員が選任されることが多く、裁判所に納めるこの費用だけでも一般的に20万円以上はかかると言われていますので、借金の額の大きさと一緒にこの費用も考えて有効かどうかを判断したほうがいいでしょう。

          

「自己破産」という言葉はよく聞きますが、どういうものですか?

          

「自己破産」は、最後の手段です。引き直し計算をしても借金がたくさん残り、分割でも支払うことができないときには、破産の申立をするしか方法はありません。自己破産をすると不動産や自動車など、大きな財産を失うことになります。

          

自己破産すると、戸籍謄本に記載されますか?

          

戸籍謄本に破産の記載はされません。海外旅行も可能ですし、選挙の投票もできます。ただし、官報という政府が発行する新聞に掲載され、また市町村が発行する身分証明書には記載されます。

          

言いにくいのですが、私の借金はギャンブルが原因のものもあります。

          

「自己破産」の場合、裁判所が借金返済を免除するという判断を下す「免責許可」を得られるか否かが重要なポイントです。
「免責許可」は、借金の理由や過去の預金通帳を細かくチェックしたうえで裁判所が判断します。ギャンブルが原因ですと、「免責許可」が得られず借金返済義務が残ってしまうこともあります。
また、「免責許可」を得られたとしても滞納した税金や不法行為による損害賠償金など免責されないものもありますし、破産手続費用も管財人が選任される場合や不動産がある場合などは、かなりお金がかかってしまうことがあります。
このようにそれぞれの解決方法には注意するポイントがありますので、司法書士に相談して慎重に債務整理の方法を選ぶことをお勧めします。

          
                     
亡くなった兄の借金を『相続』したくない
                                
          
亡くなってから兄の借金がたくさんあったことがわかり困っています。
          

先日、兄が亡くなったのですが、どうやら貸金業者から借金があったようです。兄は生涯独身で子どもはおらず、両親もすでに亡くなっているので弟の私が相続人になるのですが、借金も相続しないといけないのですか?

          

お兄様が借金を残されたということになると、その借金も相続人であるあなたが相続しなければなりません。お兄様には預貯金や不動産などの財産はありましたか?

          

貯金が300万円くらい残っています。不動産などの大きな財産はありません。
でも、借金がいくらあるのか全くわからないので困っています。

          

そのような場合には二つの方法があります。

まずは、「相続放棄」です。相続する権利や義務を一切放棄してしまう方法です。これにより、借金を負担する必要はなくなります。ただし、もし貯金で借金をすべて返済し、残ったとしても、相続放棄をした場合には、残りのお金は国庫に入ってしまい、あなたには何も残らなくなります。
もうひとつが「限定承認」。残された貯金の額を限度として、借金返済に充てればそれでよいという方法です。貯金から借金返済額を差し引いた後、貯金が残れば、その分は相続できます。

          

その「限定承認」という方法なら、私は兄の借金を相続しなくていいのでしょうか?

          

そのとおりです。たとえば借金が300万円で貯金が200万円だったとしたら、お兄様が借りた貸金業者らに合計で200万円を返済すればいいのです。逆に借金が100万円で貯金が200万円だったとすれば、貸金業者に合計100万円を支払った残りの100万円を相続することになります。

          

どのようにしたら相続放棄や限定承認の手続ができますか?

          

家庭裁判所へ相続放棄又は、限定承認の申立をします。申立をした後に借金の整理をすることになりますので、司法書士に相談することをお勧めします。

          
                     
『借金を繰り返す息子』をなんとかしたいのですが・・・
                                
          
一度立て替えてやったのにまた借金をするなんていったい・・・
          

私は、昨年息子の借金を立替えました。それで終わればよかったのですが、息子はまたどこかから借金をしているようなのです。どうすればいいでしょうか?

          

ご子息のためを思って立替えられたのだと思いますが、借金をしたのはご子息です。
自分で解決する努力をさせるべきでしたね。
債務整理は、ご子息に訪れた「人生をやり直すチャンス」だったのです。そのチャンスを逃してしまったのかもしれません。

          

それは本当に反省しています。でも、そんな息子にまだお金を貸す業者がいるとは思いませんでした。

          

あなたが立替えたことで、ご子息は貸金業者にとっては「きちんと返済してくれる優良顧客」になってしまったのです。ですから、今後は二度とご子息の借金の肩代わりはしないようにしてください。ところで、ご子息の借入期間はわかりますか?長期間の場合なら、払い過ぎている可能性もありますよ。

          

本当ですか?

          

貸金業者との取引履歴を見なければはっきりと言えませんが、言われたとおりの返済金額を支払ったのであれば、その可能性は十分あると思います。最近の借金も整理する必要がありそうですから、一度ご子息と一緒に司法書士にご相談ください。今度はご子息自身で解決できるようにご協力させていただきます。

          
                     
『夫婦両方の名義の借金』をなんとかしたい
                                
          
私名義と妻名義。会社の資金を両方で借りてしまっています。
          

私は、自営業をしているので、事業資金として自分名義で借金をしてきました。限度額いっぱいまで借りても足りなくて、妻の名義でも借金をするようになりました。頑張って働いても返済することができなくて困っています。

          

奥様名義の借金があるのであれば、奥様も債務整理をする必要があります。

          

借金はあくまでも会社の事業資金ですし、
使ったのは私ですから、妻は関係ないのでは?

          

司法書士に借金の整理をご依頼いただくと、司法書士は貸金業者にあなたとの取引履歴を見せてもらいます。その場合に、貸金業者は借りたのは誰か、つまり借金は誰の名義であるかに注目しています。ですから、あなた名義ではなく奥様名義で借金しているというような場合、その貸金業者は「あなたの借金はない」と回答をしてくるのです。

          

例えば、私が自己破産したとしても、妻名義の借金は残ってしまうのですか?

          

そうなります。例えば、ご家庭で車をローンで買うときに誰の名義でローンを組むかはあまり気にしませんよね。それでも実際、全部支払ってしまえば何ら問題はありませんが、ローンが残っていて債務整理が必要となると、誰の名義で組んだかが大きな問題となってくるのです。

          

では、どうしたらいいでしょうか?

          

奥様も一緒に借金の整理をしなければいけません。夫婦であっても、あくまでも別々の債務者という立場ですから、それぞれの状況に適した借金の整理方法を選択する必要があります。

          

別々の方法で借金の整理ができるのですか?

          

はい。もし、あなたがご自分の名義で住宅ローンを抱えている場合には、ある程度の収入が見込まれるなら任意整理か個人再生を選択すればご自宅を残すことができるかもしれません。奥様も、任意整理か最悪の場合は自己破産という選択もできます。いずれにしても、夫婦別々の方法を選ぶことができますので、よく話し合い、お二人で司法書士に相談してみてはいかがでしょうか。